🎐 潯珩亂筆 071 - ✨今の若者は、本当に幸せなのか?

私が子どもの頃、 物質は本当に少なかった。 フェラーリやポルシェは、 少年たちの口に出る神話のような存在だった。

ある人はこう言っていた。 人生で一番誇らしかった瞬間は、 五つ星ホテルの浴室で一度シャワーを浴びたこと。 それを同世代の中で 半年間自慢したという。

当時も欲望はあった。 でもその欲望は、 地面に近いところにあった。 食べられること。 暖かく過ごせること。 見てもらえること。 認められること。 たまに「すごい」と思える体験。 それだけで、 長く幸せでいられた。

今は違う。 物質条件は格段に良くなった。 でも欲望は、 自分の人生の層とは無関係な高さまで引き上げられてしまった。

毎日、 必要でもなく、 長く背負えるはずもないライフスタイルを見せられる。 見るほど欲しくなり、 欲しくなるほど不安になる。

多くの人は、 その生活を本当に望んでいるわけではない。 ただ—— 「自分が上に行った」 という証明が欲しいだけ。 けれど問題は、 社会がどう階層化されているのか、 資本がどう罠を仕掛けているのかを理解していないこと。

だから信じてしまう。 手段が強引で、 顔の皮が厚くて、 登れそうな藁をすべて掴めば、 凡庸な鶏でも鳳凰になれる、と。

やがて、 物質に依らない喜びは消えていく。 お金がなければ、楽しくない。 地位がなければ、安心できない。 見られていなければ、存在していないも同然。

金と地位は、 道具から信仰へと変わった。 そのために、 身体を売り、 良心を売り、 魂さえ売る。 かつて 「さすがに大げさだろう」と思われていたことが、 今では日常的に起きている。人と人との信頼。 夜に鍵をかけない安心感。 それらは少しずつ、 おとぎ話になっていく。

今では、 一通のメッセージや一本の電話ですら、 まず疑われる。 詐欺ではないか、と。

それでもこの社会は、 本当に幸せになったのだろうか?



—— 潯珩亂筆 | XC Scribbles · 柒拾壹 LXXI 🦊

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