🎐潯珩亂筆 043 - ✨習慣というもの

私は気づいた。  自分は物忘れが激しいのではない。  裏切られているのは、  自分の「習慣」だ。

車ごとに操作は全部違う。  ボタンで始動する車もあれば、  鍵を回す車もある。  バックがボタンの車もあれば、  レバーを動かす車もある。

しばらく乗っていなかった車に乗ると、  最初にやるのはエンジンをかけることではない。  三秒ほどぼーっと座って、  頭の中を必死に探す。  「前は、どうやってたっけ?」一番気まずいのはクラクションだ。  ハンドルの真ん中にある車もあれば、  両側にある車もある。  緊急時に押そうとしても、  手は宙を彷徨い、  まるでハンドルに無言の抗議をしているようだ。

バックも同じ。  急いでいると、  存在しないレバーをごく自然に探してしまう。  ボタンは目の前にあるのに、  習慣がすでに間違った判断を下している。

アコーディオンもそうだ。  自分の楽器には、  私は密かにたくさんの「小さな錨」を作っている。  ある角度、ある手触り、  とても個人的な近道。  触れた瞬間に、  音の場所が分かる。

でも他人の楽器に替えた途端、  その錨はすべて消える。  手は迷子の小動物みたいに、  何も掴めなくなる。

そのとき分かった。  習慣はスキルではない。  習慣とは、  あるシステムと長く一緒に暮らす中で生まれた暗黙の相互理解なのだ。

とても便利。  ——世界を替えるまでは。

だから私は考え始めた。  習慣は、本当に良いものなのだろうか。

今日の私をスムーズにしてくれる一方で、  明日の私を不器用にするかもしれない。

私たちはよく「良い習慣を身につけよう」と言う。  でもあまり語られないのは、  一度身についた習慣が、  他の可能性を排除し始めるということだ。

できないのではない。  身体が、まだ昨日に住んでいるだけ。

もしかすると、  習慣の本当の役割は私たちを速くすることではなく、  こう教えてくれることなのかもしれない。

行き詰まったとき、  それは能力不足ではなく、  古い地図で新しい出口を探しているだけだと。

そう思ったら、  自分に少し優しくなれた。  次にクラクションを押し間違えたり、  バックが分からなくなったり、  音を外したりしたら、  私は自分にこう言おう。

「大丈夫。  この新しい世界と、  まだ仲良くなれていないだけ。」



—— 潯珩亂筆 | XC Scribbles · 肆拾參 XLIII 🔘

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