🎐 潯珩亂筆 023 - ✨宇宙にそっと押された小さな道

今日はスマホを忘れた。  そのせいで、一日中迷って、遠回りして、ぐるぐる歩いた。

歩きながら、ずっと考えていた。  人が本当に怖れているのは、連絡が取れないことじゃない。  「次に何が起こるかわからない」ことだ。

でも同時に、  わからないからこそ、  本来なら辿り着かない場所へ行ける。

スマホを取り戻したあと、  人の少ない細い道を通って家に向かった。  途中、小さなマーケットがあった。  その中の一つの店が、磁石みたいに私を引き寄せた。

店主は画家だった。  彼女が描くのは、可愛い動物じゃない。  迷宮みたいな家々と、 そこに住む不思議な小さな生き物たち。

逆立ちして洗濯する者、  鍋が燃えるまで料理する者、  天井からぶら下がって歩く者。  建物の中では、動物たちがカードを送り合っていて、  まるで小さなコミュニティ新聞みたいだった。

私はすっかり魅了された。  世界は小さいのに、  その中の命は、どれも完全だった。

彼女はあとでこう言った。  「私は四百歳を超えたアライグマで、  十二種類の動物の視点から、  何年もかけて本を書いているの。」

その瞬間、  心がとても柔らかい場所まで沈んだ。

ああ、この人も——  長い道を歩き、  魂のかけらを集めている人なんだ。

私たちは同じ道の旅人みたいだった。  彼女は絵で歩き、  私は言葉で歩く。  彼女の本は難産で、  私の本は別の時空で産後ケア中。

不思議と、親しさを感じた。

マーケットを出ると、  前から旋律が流れてきた。  「You light me up。」 理由はわからない。  その一言だけで、  目が熱くなった。

近づくと、  顔に障がいのある男性が歌っていた。  声は信じられないほど美しく、  温かく、澄んでいて、人の心を修復できそうだった。 寄付しようとして、QRコードを見た。  妙に現実的で、少し滑稽だった。乞うことにもスマホが要る。  スマホがなければ、  善意すら渡せない。

もし今日、スマホを忘れていなければ、  あの道は通らなかった。  アライグマの画家にも出会わず、  宇宙の迷宮も買わず、  心を灯す歌も聴かなかった。

だから、わかった。  私が怖れているのは、不確かさじゃない。  不確かさが、私をどこへ連れて行くかだ。

でも今日、  それはとても優しい場所へ連れて行ってくれた。  一日の映像に、  そっと光を足すみたいに。

今日は、とても満たされていた。  満たされすぎて、  こんな感覚がした——  宇宙の透明な手が、  直接、私を少し押してくれたみたいだ。



—— 潯珩亂筆 | XC Scribbles · 貳拾參 XXIII 🌌

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